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報酬10億円?
  テリー伊藤の「お笑い大蔵省極秘情報」という本があります。その本の中で、ある大蔵官僚がなぜ大蔵省に入ったかを述懐する問答があります。その大蔵官僚が言うには、面接の時に、大蔵省ではどういう天下りをしているか、いくら銭を貰っているか、ということを聞かされたというのです。それは、大体一つの天下り先に3年いたら毎月の銭が4000万円で、かける3で1億2000万円、退職金が大体8000万円で、計2億円、3年を3回繰り返して、3かけて6億だけど、実は裏金も入れて10億ぐらいにはなる。だから、老後10億はいると思って間違いない。ということを面接の時に言われて、大蔵省に入省したというのです。
 悲しいことに、それが現実なのかもしれません。官僚は、入省したとたんに老後の天下りのことばかり考えて仕事をしているのでしょう。

公表されない役員報酬

 天下り官僚は特殊法人で高額の報酬を手に入れているが、金額は公表されない。ちなみに国家公務員であれば、法定されている。特殊法人が国家からの補助金や財政投融資からの巨額融資を受けていることを考えれば、元省庁キャリアに払う給料は、国民の税金なのでる。
      税金を払った者にはその使い道を知らされる権利がある。特殊法人の性格が、「政府が必要な事業を行おうとする場合に、その業務の性質が企業的経営になじむもので、行政機関よりも能率的な経営を行わせようとするもの」である以上、能率的経営を行えない場合には高額の報酬を受け取ることは許されないはず。ところが、天下り官僚の給与ないし役員報酬は、前職の給与・報酬によって決定されている感がある。
天下り官僚の給与は「遅れて支払われた報酬」か?
 猪木武徳氏は「戦後日本の官僚組織と特殊法人」学術月報48巻5号526頁で、日本の省庁のあり方が、省内の効率化のために優秀な人材だけを本庁に確保し、他の人材を外へ出すようになっていること、即ち、定年前からの退職を慣例とすることで、若年層の官僚の昇進を早め、官僚組織の活性化を図ること、特殊法人への天下りは「組織内での異動」という側面を持ち、異動の際にこれまでの業績への評価が組み込まれ、天下りが一種の「遅れて支払われた報酬」という側面を持つということから理解を示している。
 こうした性格を持つが故に、天下りに官僚が固執するのである。実際にも特殊法人に役員として天下りし、官僚現職当時より高い給与を受け取ることが通例となっている。
役員給与に関する改革
天下り官僚の高額給与については、以前より国民の批判の声が強く、ようやく自民党行政改革推進本部においても改革対象とされ、トップ給与は官庁の事務次官並にという案が検討されていた。つまり、これまで事務次官級を超える給与だったということである。しかし、この改革案も第3次合理化案では、「トップ給与を主務大臣以下にする」ところまで、トーンダウンした。これで給与削減対象となる特殊法人は皆無で、改革が全く骨抜きにされた状態なのである。政府の改革に任せていたのでは、改革の実効性が期待できないという一例である。
役員給与と経営状態
 官僚退職時に優良民間業者も驚くような数千万円の退職金を受け取り、さらに天下り先を2〜3年転々とするだけで各々の法人から数千万円受け取ることは、素直な国民感情として納得できるものではない。給与は、その職務内容、繁忙度、当該団体の財政状態等が反映されるべきもの。ところが高額な役員給与は当該法人の財政状態とは連動しない。多額の赤字を計上している法人のトップも高額報酬を受け取る。しかし、トップの経営責任を考えれば、給与減額は当然であろう。
役員報酬の実態
財務諸表等の公開規定が設けられ、特殊法人の役員給与総額については附属明細表などで把握しやすくなった。役員給与総額をもとにその法人のトップ給与を推定したのが別表「天下りデータ」である。
 総額を役員数(ただし、非常勤については0.5人とした)で除し、その1.3倍をトップ給与とした。
特殊法人の役員給与に関する情報公開
 「特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律」が制定され、大多数の特殊法人の役員給与額については公開義務のある財務諸表の附属明細書記載事項として総額が把握できることになった。
  問題は当該法律の適用とならない株式会社組織の特殊法人、特殊会社である。株式会社は、商法及び証券取引法により財務情報の公開が一定程度義務付けられており、他の特殊法人よりも情報公開度が高いと言える。
   しかし、こと役員給与の把握に関しては株式会社組織でない特殊法人より困難なのである。株式会社の取締役及び監査役に支払った報酬額については、商法及び商法の省令である「株式会社の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書に関する規則」により、附属明細書の必須記載事項として定められている。商法は債権者保護を目的の一つとしており、株式会社は不特定多数の一般人に対して、附属明細書の開示義務があるわけではない。結局、公開するかどうかは会社側の裁量に任せられる。
 特殊法人である株式会社はJR各社及び通信関連等12社を数えるが、役員給与額が把握できたのは5社のみ。附属明細書の掲載された計算書類を開示しているところ、電話での問い合せに口頭で回答するところもある中で、多くの株式会社は株主でない者に対しては附属明細書については開示しないとのことであった。
 現状では、株式会社の役員給与については株主等でない限り、確実に情報を得ることが難しく、情報公開の盲点となっている。
  特殊会社は、国が一定割合の株を保有しており、納税者である国民が株主でないとして排除されることは大いに問題。特殊法人のディスクロージャーに関しては民間部門(株式会社)におけるディスクロージャー並にという言葉がよく聞かれるが、株式会社といえども、情報公開を実のあるものにするにはさらに見直しが必要。
巧妙になる天下り
官僚の天下り方法は年々巧妙になってきている。
 監督官庁から所轄の民間企業へ天下るのは、国家公務員法103条2項で退職後2年間は禁止されているため、特殊法人に天下り、特殊法人に非難が集中すれば次は認可法人、次に公益法人に天下る。公益法人は現在2万6千もあり、85の特殊法人についてさえ実態をつかみ切れていない状態で、十分なチェックを行うのは極めて困難。

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