I. 特殊法人のデュー・ディリジェンス
A. 適法性の査定 ←根拠法にきちんとのっとっているか
  
B. 合目的性(社会的意義との合致)の査定 ←特殊法人のもつ公共目的考慮
  
C. 経済的合理性の査定
  
D. 経営の透明性(情報公開)の査定

適法性、合目的性、経済的合理性、経営の透明性という4つの要素を考慮して特殊法人デュー・デリジェンスを行う。

II. 特殊法人の客観的価値

A. 納税者から見た価値
1. 目的に合わせた仕事がなされているか(適法性、合目的性)
(a) 特殊法人の設立目的と目的外使用
特殊法人にはそれぞれ公共目的があり、その公共目的に沿って運営されているのかどうかが問題となる。更に、本来の目的以外に使用されているのか、目的外使用されているとしたらどう解決したらよいか。
(b) 無駄な事業と公共性のバランス
事業と公共性あるいは経済的バランスを考える。
(c) 目的と時代の適合性
特殊法人の目的も時代に応じて変遷すべきであり、今の時代に適合しているかどうかを判断すべきである。
2. 税金は合理的に使われているのか(経済的合理性)
(a) 国のバランスシート(貸借対照表)に見る特殊法人への税金投入
(b) 合理性の基準なし
事業と公共性あるいは経済的バランスを考える。
3. 投資(郵便貯金、簡易保険)に見合うリターンがあるか、リスクはどうか(経済的合理性)
(a) 財務状況不明
(b) 政府保証とリスク感の欠如
納税者は郵便貯金、簡易保険を絶対保証されたものとして、投資とみていないためリスク感がない点が問題といえる。
B. 官僚の立場から見た価値
1.  天下り先と収入の確保の機関として
(a) 天下り
1. 特殊法人の9割に天下り
a: 78特殊法人の合計726役職ポストの内、4割を超える309ポストが官僚OB
(2000年8月9日朝日新聞報道)
b: 再就職先として官僚が入省時から意識する特殊法人
1. テリー伊藤「お笑い大蔵省」
※ 官僚が当初から自らの天下り機関として意識している

2. 給料、退職金共に破格の厚遇
a: 何度もその厚遇が問題にされながらも小規模減額にとどまり長期間放置されている 
1. 総理大臣よりも高い年収が問題になったことも
2. 大臣が反対しても役人が退職金を出した例(石油公団)
※ 給与が高いことが何度も問題になりつつも一向に改善がなされないのが現状である。
適法性、合目的性、経済的合理性、経営の透明性という4つの要素を考慮して特殊法人デュー・デリジェンスを行う。
2.  権力支配の機関として
(a)  行政の下請け機関(特殊法人)に対する締め付けと懐柔
(b) 孫請け機関(特殊法人の子会社、関連会社)に対する影響力の保持
C. 投資家の立場から見た価値
1.  投資(国債、財投債、財投機関債)に見合うリターンがあるか、リスクはどうか
(a) 政府保証の信頼度と価値
※  日本政府の保証ということで、信用性が高いとして、リスク分析をせずに買うところも今まではあった。
(b) 格付け機関による債券の格付け
2. 投資判断の情報はあるのか
(a) 政府系機関の情実買い(政府の押し付け)
政府系の機関が情実からリターン、リスク等を考えることなく買う例もかなりでてくるのではないかと推測される。
(b) 情報開示と投資判断
一部の情報が公開されているが投資判断の材料としては必ずしも十分とは言えない。
D. 国会議員の立場から見た価値
1. 政策執行と特殊法人
(a) 行政の下請けとしての特殊法人
1. 適正な指揮監督ができているか
※ 立法による政策立案をどのように特殊法人に下請けさせるか問題となる。
(b) 公共事業の発注者としての特殊法人
1. 地元利益誘導の道具として
2. 特殊法人(子会社、関連会社含む)利用の病理的側面
(a) KSD問題のような政治献金という名の賄賂
(b) 道路公団傘下の財団法人に対する納入先
国会議員にとっては特殊法人を使って選挙運動の資金集めをするなど、特殊法人は良くも悪くも利用しがいのある存在となっている。
E. 経済界の立場から見た価値
1. 受注者の立場から
(a) お得意さまとしての特殊法人及びその子会社関連会社
※ 経済界にとっても、公共事業について取引先としての利用価値がある。
(b)  ライバル、ないし競争排除としての特殊法人及びその子会社関連会社
1. 随意契約による市場競争原理からの隔離(参入規制)
特殊法人は子会社及び関連会社との取引が圧倒的に多く、民間の企業は受け入れず市場参入が開かれていまいのが現状である。
2.  納税者の立場から
(a)  経済界も個人納税者と同じ
(b) 企業モラルと公共事業に対する節度ある意見
(c) 公正で自由な競争による、効率的な公共事業
III. 特殊法人のデュー・ディリジェンスを阻むもの
A. 情報不足
1. 情報公開不十分(経営の透明性不十分)
(a) 情報公開も縦割り行政の弊害
1. 主務官庁と特殊法人の情報隠し間のたらい回し
a :  主務官庁の情報隠し
b : 主務官庁と特殊法人間のたらい回し
主務官庁と特殊法人の間で区分けがはっきりしておらず、問い合わせをしてもたらい回しにされるケースもあり問題。
2. 情報公開の実状
(b) 官報、インターネットの実状
インターネットについては現在ではほとんどの特殊法人がホームページを開設せいているが、本当に必要な情報が必ずしも見つからない場合も多い。
総務庁発行の「特殊法人総覧」という出版物で特殊法人の財務諸表も公開している。(別紙5の資料はそこからの抜粋)
(c)  総務庁特殊法人情報開示室の実状
総務庁が自ら必要な情報を収集するのではなく、予め決められた事項について各特殊法人が情報を提出するだけなので、必要な情報を十分入手してるとは言えず、総務庁特殊法人情報公開室で公開される情報は限定されたものとなっている。
1. 特殊法人に対する投資情報の公開度
2. 政策コストの公表
※  大蔵省のホームページで、特殊法人にどれだけの費用がかかり、どれだけの見返りがあるかについて試算した「政策コスト分析」を発表している。いわば特殊法人のデューデリジェンスと言えよう。このような試みが行われたこと自体は評価すべきだが、本当に正しく行われているのか等、その内容については疑問もある。
(d) 財務諸表の公開度
(e) 連結決算制度の不備
特殊法人のデューデリジェンスには、国および子会社、関連会社の両者ついて連結決算が不可欠だが、そのような決算は現在行われていない。
2. 特殊法人と情報公開法 
(a) 情報公開法と特殊法人
※  情報公開法の対象に特殊法人は含まれておらず、付帯決議の法で、検討し直すということになった。
(b) 特殊法人情報公開検討委員会の中間とりまとめ−特殊法人等に関する情報公開法(仮称)の内容の骨子案(平成12年4月5日)
(c) 特殊法人情報公開検討委員会による特殊法人等の情報公開制度の整備充実に関する意見」(平成12年7月27日
1.  特殊法人、独立行政法人又は認可法人の一部を対象
(d) 組織、業務及び財務の基礎的事項並びに評価及び監査に関する情報の開示 
(e) 不開示情報大きい
1. 開示、非開示は情報公開法とパラレルに区別されるが、情報公開法自体が情報公開が十分でないという批判があり、特殊法人についても問題が残されている。
2. 全般的にみて、特殊法人の情報公開はまだまだ不十分であり、デューデリジェンスを阻むものとして挙げられる。 
B. 特殊法人シンジケートの存在
1. 子会社、関連会社
(a) 会社の形態
1  株式会社、財団法人、社団法人、認可法人
※ 参入規制が行われ民間企業は参入できない。
(b) 出資関係
1. 100%出資
2. 部分出資
a : 特殊法人出資、官僚個人出資、民間会社出資
(c) 子会社、関連会社の実態は不明
1. 情報公開なし
2. 子会社、関連会社の範囲不透明
例えば道路公団であれば、ハイウェーカード、パーキングエリアに関係する事業など、特殊法人を巡る、子会社、関連会社は膨大な数にのぼると考えられる。
2.  役員状況
1.  国との連結決算の必要性
2. 子会社、関連会社との連結決算の必要性
3. 不良債権の飛ばし 
合法的な不良債権の飛ばしとしては、例えば、住宅金融公庫の住宅ローン債権について保証協会が代位弁済を行っている例がる。この結果、住宅金融公庫については不良債権の額が少ないが、だからと言って本当に財務が健全といえるかどうかは問題で、保証協会の財務と連結する必要があるのではないだろうか。
なぜこのようなことが問題かと言うと、例えば、保証協会が不良債権が多いからと言って倒産させるわけにはいかず、結局において税金を投入しなければならなくなってしまう為。特殊法人の子会社関連会社の損失が親会社に、さらには国民に跳ね返ることになってしまう。
4. 子会社黒字、親会社(特殊法人)赤字
C. 天下りによる経営のゆがみ・ねじれ
1. 天下りの弊害
(a) 経営能力及び意欲の欠如
独自の経営判断なく、省庁の判断優先
天下りの弊害として、例えば道路・鉄道をつくる場合、官庁・政治家の判断で決定され、道路公団、JRなどの意見は反映されない。
・公共事業に関する利権誘導型の政治介入
a: 僚出身政治家(天上り国会議員、都道府県知事)のロビーイング官
(b) その他の政治家による地元利益誘導活動
前述のように官庁・政治家の判断で事業が決定されるが、その決定は公益を考えるのではなく地元の利益誘導などがある。
2. 天下り確保のための締め付けと懐柔
(a) 許認可行政
(b) 補助金、補給金、その他の意味不明な様々な援助交際金
様々な名目で国からの援助金が流れているが、不必要なものもかなりあり、国と特殊法人の癒着を助長している。
3.  経営能力・財政状況とは無関係な役員報酬体系
(a) 役所感覚と報酬
1.  財政状況とは無関係
2. 遅れてきた報酬?
a : 定年制と肩たたき
(b) 経営責任不明朗
4.  丸投げ無責任体質
5. 放漫多角経営
※  特殊法人の当初の目的が時代に適合しなくなった場合、本来ならその特殊法人は統廃合すべきだが、統廃合したくないということで、事業目的を広げ存続する法人も存在している。JTなどその例で、現在では100〜200の分野に手を広げている。本来統廃合すべき法人をこのような形で存続されるのは疑問。
D. 税金投入の基準なし
1.  税金は、出資金、補助金、補給金、その他の名目で
(a) 不明朗な名称及び支出の実状
(b) 各省庁ごとの縦割り故、余計に特殊法人全体としての実態がつかみにくい
(c) 政府支援による業績判断の困難さとあいまいさ
2.  プロジェクトに関する適切な評価機関なし
(a) 景気対策と言う名の甘い罠
(b) 問題とされている公共事業の具体例
(c) 国鉄問題、四国本州連絡橋問題、空港問題、林道、ダム、その他多数
※  公共事業についての適切な評価機関がないため、一旦計画された事業が本当に必要なのかどうかの検討が行われにくいのが現状。
3. 会計検査院の検査
E. 財政投融資の基準なし
1. 財政投融資の歴史的背景とシステム
※  財政投融資の制度自体は明治時代からあったが、かってはそれほど比率が高くなく、それに頼っていると言うものではなかった。近年は肥大化し、特殊法人の主要財源となっているのが現状。
2. 財政投融資の肥大化 
(a) 政府保証の故の歪み
(b) 全額預託義務
※  全額預託義務は現在ははずされている。郵便貯金、簡易保険について自主運用の方向に見直しを行っている。
財投資金消化のために特殊法人に無駄な資金が流れ込んだのでは
財投資金額の歴史的変遷
一部自主運用への変更
a : 自主運用とはいってもその実態は
b :  国債の購入
i : 国のバランスシートとの関係
ii : 国債の格付け低下と利率の上昇
3. 財投債、財投機関債の購入
(a) 全額預託時代と変化がなくなってしまう
(b) 特殊法人の効率化を市場の力で押し進めると言う財投機関債の市場形成力を歪めてしまい、財投機関債発行の意図を実質的に無にしてしまう可能性あり
4. 政策コスト問題
5. 責任の不明確さ
F.  不良債権問題
1. 会計検査院発表  >>別紙8
2. 情報非開示
3. 隠れ不良債権
4. 不良債権の飛ばし
G.  杜撰な会計監査
1. 計検査院の監査の限界  >>別紙9
(a) 人的、物的限界
(b) 会計検査官の天下り
2. 会計基準不明確
(a) 統一会計基準なし
各法人ごとにバラバラの会計基準と様式
・ 表示通貨単位もまちまち
(b) 分かりにくい財務諸表   >>別紙5
勘定様式による損益計算書(報告様式の導入を!)
※ 損益計算書は勘定様式となっているが、報告様式の導入が望まれる。
統合前旧法人の会計区分の統合が必要
繰入、繰戻による会計帳簿操作
(c)   連結財務諸表の必要性
国との連結会計の必要性
子会社、関連会社(認可法人、公益法人含む)との連結会計の必要性
3. 税金投入による責任感の不在
(a) 様々な名目を隠れ蓑にした税金投入
※  さまざまな名目で税金が投入されすぎているため、チェックがされていないのが現状。これでは適正な会計チェックは行えない。
(b) 収支プラスマイナス0が何年も続く特殊法人
※  例えば地域振興整備公団など、収支プラスマイナス0が何年も続いてる特殊法人があり、数字操作が行われているものと思われる。
(c) 国庫納入の義務と資金使途
・ 特別会計による資金流用(省庁利権の草刈り場)
H 暗黙の政府保証
※  暗黙の政府保証が行われている点が、デューデリジェンスの最大の壁といえる。納税者の立場からすると、実態がつかみきれないものと言える。一方、投資家の立場からすると、政府保証の信用力が問題となる。これまでは政府保証は絶対のものと考えられてきたが、これからは必ずしもそうとはいえず、政府の事業についても厳しくデューデリジェンスをかける必要がある。
1. 税金投入による国民負担
(a) 預かり金(郵貯、年金)
(b) 政府保証債(国公債)
(c) 結果としての損失補償 >>別紙10
2. 結果としての経営モラルハザード(倫理の欠如)
(a) 責任感欠如の源、経営をゆがめる根幹
(b) 親方日の丸、鉄椀飯
3. 破綻処理システムなし
4. 責任追及制度なし